観世流能楽師の松木千俊さんのお舞台を拝見しました。
ご長男の松木崇俊さんの初面(はつおもて=能楽師の元服といえる初めて面をかけることだそうです)の
「経正」(つねまさ)のなんと初々しかったこと。

狂言「佐渡狐」、仕舞「夕顔」「藤戸」と続き、松木千俊さんの「船弁慶」。

今回初めて脇正面の最前列で拝見しました。
なぜなら親友の弘美さんが面を打っているためどうしても一番前じゃなきゃ嫌!
と主張するもので(笑)でもそれが良かったのです。

演者の気をそのまま受け、迫力にひっくり返ってしまうのではないかと
思うほど素敵だったのです。
千俊師の前シテの「静御前」は美しく源義経(子方の小早川康充さん)との
別れを嘆いて舞う舞いには切なくて涙する思いでした。
愛する人との別れ程辛いことはありませんものね・・・

静が去ると船頭(野村萬斎さん)の締めた迫力の登場で瀬戸の海が目の前に広がります。
この船頭には一度お幕に音もまく駆け込むや早替わりで装束が替わり、船に乗ってスーッと
現れるという見物客にはたまらないご馳走が用意されています。
船に乗り込む義経、弁慶(宝生欣哉さん)一行がお幕の中に現れる平家の大将知盛(千俊師の後シテ)を
見つけ、その姿を見た瞬間はぞくっと心が震えました。

美しく悲しい男。幽霊であることがことさら品のある色気を感じさせ、その後の義経との戦い、
弁慶に祈り伏されて消えてゆくまで、息もつけないお舞台でした。
新年から本当に良いものを拝見できて嬉しい限りでした。