一般の方には余り馴染みのない「浴衣浚い」(ゆかたざらい)という名称。
これは文字通り、浴衣を着てお浚いの会を開くというものです。

私達が子供の頃(それでさえ、昔程日本舞踊のお稽古をする人がいなくなったと
お師匠さん方は、嘆いていらっしゃいましたが)は、お正月には「踊り初め」で
1年の幕を開け、祝いの踊りを舞って、師弟でお杯を交わします。

その後は「お月浚い」といって、毎月のように仕上がったものを、お稽古場で
お互いに発表し合うのです。踊った後は、「細く長く続きますように・・・」と
皆でおそばを頂くシンプルで爽やかなものでした。

そして夏ともなれば「浴衣浚い」です。これは料亭の舞台で、お揃いの浴衣を着て、
踊った後はお食事で・・・子供も沢山いましたから、はしゃいで嬉しい会でした。

秋になれば、氏神様(渋谷は氷川様です)のお神楽殿で、舞いをご奉納です。
このように1年の内に人前で何度も踊り、「本浚い」を迎えるのです。
これは華やかなイベントで、演奏も長唄、清元、義太夫、あるいは常磐津、それにお囃子。
かつら衣裳付け、大道具、小道具。一日の舞台のために大勢の方が動き、お客様も大勢で、
熱気あふれるものでした。
そういうことを何回も重ねて、そこからプロが生まれました。

残念ながら現在はその人口が減り、日本舞踊は特殊な存在になりつつあります。
日本人の血がある以上、食べず嫌いにならず、まず公演を鑑賞してくださることを
願ってやみません。

作品に対する好き嫌いは仕方のないことで、なにかぐっ!と
くるものに出会ったら本当に心豊かになれます。
これからは外国の方々と一緒に仕事をしたり、学んだりすることが多くなります。
その時に、日本は小さい国だけど大きな文化を持っています。

古典芸能といわれる、能や歌舞伎は知識として語ることができるかも知れませんが、
ほんのひと手、一緒にやってみてください。
といって扇子(なにも舞扇でなくたって良いのです。)をはらりと開き、お花が咲く様子や、
雨や雪の降る様、日本の情緒を表現して見せてあげたら、とても素敵な文化交流になると思うのです。

大袈裟でなく浴衣をさらりと着て、タイムスリップする楽しさ、多くの方に体験して欲しいです。