穏やかの冬の日々です。
しかし暮れは気ぜわしいもの。
そしてこのご時勢ですからあまり華やかな装いは見られないと思うものの、かえって日常の中に「着物姿」を見かけることがよくあります。
上着として、ある時期は「羽織」が流行ったそうですが、今は圧倒的にコート。
「道行」「道中着」などで、丈の長い物が多くなりました。これは確かに温かいのです。
私などは、舞台衣装として創ったものなど、工夫があり、そのまま着るにはちょっと派手かしら・・・
と思うものは、作って頂いた呉服屋さんでコートに仕立てて頂き楽しんでいます。
赤坂「福田屋」さんは、お芝居好きのご主人が大変素晴らしい発想の基に洒落て、
しかも古風なのでいつまでも身に付けたい作品を作っていらっしゃいます。
私が、常磐津「独楽」を素踊りでさせて頂いた時には
「羽二重」に「刷毛引き」という手法で染めたもの
(全体にシュッシュッと刷毛後の残るような縞模様・・・とでも云いましょうか)
に大きな=独楽=の(一つ紋)を刺繍した着付けに、歌舞伎座などで見られる「定式幕」と呼ばれるものを
模した朱、緑、黒など横縞の染め帯を作って頂きました。
もう色も派手めになったのでどうしましょう・・・(愛着がある故に)
とご相談しましたら、コートにしましょう。ということになりました。
私が忠臣蔵の八段目道行で着るみたいな「道中着」が欲しいと云いましたところ、
ご主人が黒繻子の襟を新たに掛けて下さり、とても洒落たものに生まれ変わりました。
独楽の紋はそのまま活かしましたので、お正月にはもってこいです。
こういう工夫は、今叫ばれている「エコ」ではないかしら?
と思うのですが楽しんでしかも古いものがヨミガエルノのですもの、
嬉しい限りです。
心に「和の美」を持っている方達の創作される物はずっと残っていくのでしょうね。